ポカラ-Pokhara-
夕方、ポカラに到着し、私達は「ダルマイン ホテル」という宿へ向かった。
アルジュンは今旅行会社で働いていて、ダルマインに客をたくさん送っているため、
私達は無料で泊まれるようだ。ヤッター☆

時間も時間だったので、早速晩ご飯を食べに行こうという事になった。
どうやらこの近くには、おいしい日本食レストランがあるらしい。
私は、普通なら絶対日本食は食べない。
「郷に入れば郷に従え」の精神で、ミネラルウォーターとトイレットペーパー以外
現地の法則にのっとって生活するようにしている。
ネパールにいるんだから、ネパールの食事をすればいい…

、かれこれ2日ほど、まともな食事をしていない。
こう弱った時に体が欲するのは、やはり故郷の味…
そして入った日本食レストラン。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…」
味噌汁を一口飲んだ瞬間、こう言わずにはいれなかった。
あぁ、沁みる。あぁ、うまい。
生姜焼きに心満たされ、私は残さず食べて、気力体力ともに充填して帰った。

翌日は、生姜焼きのお陰か、体力もだいぶ戻ったようだ。
この日は、アルジュンの友達と会う事になっている。
彼の名もまた、アルジュン
(※一緒にいるアルジュンをアルジュン1、このアルジュンをアルジュン2とする)

実はこのアルジュン2とは、前回国境の街スノウリで会っている。
たった1日だけだったけど、アルジュン1と3人で食事をしたり、チャリで川辺に出掛けたりした。
アルジュン2は、今軍隊に入るためのトレーニングでポカラに来ているのだそうだ。

アルジュン2がやって来て、3人で近くの湖にボートに乗りに行く事にした。
細長い手漕ぎのボートを一艘借り、前と後ろにそれぞれアルジュンが乗り、 私は真ん中に座る。

湖の真ん中に出ると、アルジュン1はイキナリ「暑い」と言ってパンツ1枚になり、
ボートからイキナリ湖に飛びこんだ。
「は?!」
「Oh--------- COOL!!!!」
や、君ね、ちょっと考えようよ。
私も今まで支笏湖とか、ボート乗った事あるけどさ、
暑いからって飛びこんじゃった奴なんて見た事ないよ・・・?
飛び込んだアルジュン ボートこぐアルジュン
(左)イキナリパンツ一丁で飛びこんでしまったアルジュン少年。 (右)ボートをこぐアルジュン2。

湖の上の小島には、1軒の寺が建っており、私達はそこに向かう事にした。
寺の前の庭には、ハトがたくさんいた。
近くではエサを売っていて、親子連れやカップルが、エサをやって楽しんでいた。
すると、今度はアルジュン2が奇行に出た。
なんと、ハトの背後から忍び寄り、ハトを素手で捕まえ始めたのだ。
「な、何してるの?!」
「ほら、ミホ、ハトだよ!!」
や、見りゃわかるけどさ、…いらん!
突っつかれたくないし、どこ見てるのかよくわからんハトの目はちょっとコワイ。
逃げまどう私を見てアルジュン1も加勢し、「写真、写真!」と張り切る。
君達、おかしいってば。
ダブルアルジュン ハト
(左)左がアルジュン・ライ、右がアルジュン・ラナ(右)ハトを持たされた私。必死な笑顔がわかりますか?

湖で寺でと大騒ぎした私達は、ボートを降り、晩ご飯を食べに行く事にした。
宿の近くのレストランに入り、私達はビールとロクシー(ネパールの焼酎)を頼んだ。
ネパールでは結構お酒を飲む事が多かったのだが、正直どれもうまくない
この時も、「私ロクシーあんまり好きじゃないから…」と言ったのだが、
「じゃあこうするか♪」と、ビールとロクシーのチャンポン。ゲー。
私達は3人ともデロンデロンに酔っ払い、幸せな気分で宿で雑魚寝したのでした。
アルジュン2と乾杯
(上)アルジュン2と、ビールとロクシーmixで乾杯

翌日は、自然とたわむれようという事で、ちょっと遠くのベグナス湖に行く事になった。
アルジュンのバイクの後ろに乗ったのだが、やっぱり彼の運転は荒い
というか、彼の運転もだけど、ネパールの交通ルールというのが、まずなっていない。
簡単に説明すると、
まず目の前に車があったらそれは抜くもので、対向車線の逆走当たり前
対向車が向かってきてるのに、全くひるまずチキンレースを挑む。
カナリ直前に迫って、やっとこっちの車線の隙間に戻る。
道路の端を歩く歩行者スレスレのところを運転し、何度も歩行者の服やカバンをかすった。
は何の前触れもなく、どこからでも出てくるし、
自動車学校でやるCGのシュミレーションテストをやったら、一発でゲームオーバーという感じ。
唯一のルールは、カーブや曲がる時、対向車に自分の存在を主張するためクラクションを鳴らしまくるという事。

…こんなネパールの道路を走り抜け、湖に着いた時には既に疲れ切っていた。

私達は、昨日のようにボートを借り、湖へ出た。
今回は、お互い水着も持参し、湖で泳ぐ予定なのだ。

湖で泳ぐ、と決まった時、私は澄み切った湖で、なんて見えちゃったりして、と思っていたのだが、
ボートを岸辺に留めると、木陰のため水面は小さな虫だらけで雨が降っているかのようになっている。
水の中を覗くと、水こそ綺麗なのだが、綺麗であるがゆえに、
植物か生物かよくわからないもの水中を舞って、古代の原生林みたいになっているのがよく見える。
あまり気乗りはしなかったが、足先で波を起こして虫を水面から追い払い、
アルジュンに支えられてボートから水中に飛びこんだ。
いざ入ってしまうと虫や原生林は気にならず、少し行くとすぐに足がつかなくなり、
地味に足のつかないところで泳ぐのが初めてだった私は、意外と楽しむ事が出来た。
湖にて 一服するアルジュン 景色
(上)湖にて。                     (中)自然の中で一服するアルジュン少年。   (右)湖を囲む景色。

泳いだ後は、ボートの上で、のんびりと日光浴して過ごした。
広い湖には、他に誰も見当たらず、とても静かだった。
そして、日に当たりすぎて気分が悪くなってきた頃、私達はボートを降りて、 アルジュンの暴走バイクに乗り、宿へと戻ってきた。
この日は、アルジュンの友達が宿に遊びに来て、一緒にご飯を食べた。

アルジュンは本当によく彼の友達を紹介してくれる。
私もネパールに友達が増えるのは嬉しいのだが、
いつもいつも「ほら、昨日言ったヨゲシュだよ」とか「この前写真見せたオジェスだよ」とか言われると
もとから人の名前を覚えるのが得意ではない私はもうヨゲシュでもオジェスでも何でもいいよ…と いい加減疲れていた。


翌日は、アルジュンたっての希望で、サランコットへ行く事になった。
サランコットは、ヒマラヤをよく見れる山なんだそうだ。
ポカラの街からでもヒマラヤはよく見えたし、私はあまり乗り気ではなかったのだが
…というか、気づいたのだが、私はあまり自然に興味がなかったらしい。
もちろん綺麗な景色を見たら感動するし、素晴らしいのだけど、
例えば、雪を頂き連なる山々を見ても、どこか、高校時代に教室の窓から見えた樽前山とかぶってしまうし、
大きな湖を見ても、支笏湖を思い出してしまう。
…そうか、私は自然豊かな場所で育っているから、いまさらいいのか

と、ポカラに来る必要がなかった事に気づいたのだが、とりあえずサランコットへ向かう。
サランコットへはバイクで向かったのだが、バイクで山を上るというのはこれまた怖い。
カーブが多いのも嫌だし、何より、「これないでしょ!」というような急勾配が多い。
雨季のせいか、道もぬかるんでおり、普通免許で運転していいのか?!というような道のりだった。

山頂に着くと、やはり標高の高いところにあるので、ちょっと涼しい。
暑いポカラの街で若干バテ気味だった私にはちょうど良かった。
宿で休憩した後、私は気温のせいか元気を取り戻し、子供達と遊び始めた。
何もない山の頂上だというのに、人々は普通に生活しているし、何より子供が多い
…他にする事がないから出来ちゃうんだろうか?
「money!」「sweets!」 と寄ってくるかわいくないガキんちょを蹴散らし、
純粋なかわいい子達だけと戯れて、サランコットの夜は更けていった。
明日は早起きして、山頂から朝日を臨む。
子供と 晩ご飯
(左)サランコットにいた子供と。  (右)山頂での晩ご飯。結構寒い。

5時半にアルジュンに叩き起こされ、展望台へ向かう。
…寒い。そして、眠い。
日中こそ涼しいと思えたが、早朝は夏といえ、カナリ冷え込んでいる。
しかも肝心の朝日は、雲がかかってよくわからない。
半袖短パンでリュックを背負い、どうしてこんなに元気なのかわからない欧米人達の後ろで、
私は寒さと眠気に襲われながら、「今日はダメだね」という雰囲気になるのを待った
ヒマラヤ1 ヒマラヤ2 ヒマラヤ3
(左)朝のヒマラヤ。私は十分綺麗だと思った。
(中)マチャプチュレ。「魚の尾」という意味で、晴れていたら、魚の尾のような山頂が見えたらしい。
(右)寒さと眠気でやる気をなくしながら朝日を待つ私。

朝ご飯を食べ、私達は、山を下りた。
夜に雨が降ったせいで、1度ぬかるみにハマって動けなくなり、1度スリップしてコケた。

心身共にボロボロになって宿に戻り、シャワーを浴びて気分を一新した後、私はアルジュンに頼んで、
オールドバザールという旧市街へ連れて行ってもらった。
いつもアルジュンと一緒に歩いていると、奴はずっと喋りっぱなしなので、
今回は待ち合わせ時間を決めて一人で歩く。
特に何があるわけではないのだが、のんびりした町並みは、私を十分に満足させてくれた。
オールドバザール1 オールドバザール2 オールドバザール3
(左)オールドバザールの金物屋さん。犬ものんびり。(中)私に寄って来た男の子。(右)こんなおじさんも私的にカナリ絵になる。

ポカラに満足した私達は、明日カトマンズへ移動する事にした。
というわけで、今晩はアルジュン2と一緒に晩ご飯を食べて、ポカラ最後の夜を飾る事にした。

アルジュン1は初日に行った日本食レストランが気に入ったらしく、
アルジュン2も誘ってもう1度そこへ行く事にした。
アルジュン1は「ネパールよりおいしいと思ったのは日本食が 初めてだよ」とか、
アルジュン2も「野菜が多くてヘルシーでおいしい」とか、 2人とも絶賛してくれたのだが、
白飯にみそ汁ぶっかけてダルバート風にしちゃったり、 サラダのマヨネーズを直接食べちゃったり、
何か違うんだよなぁ。 …まぁおいしいって言ってるからいっか…。
日本食レストラン1 日本食レストラン2
(左)日本人の私からしてもおいしいご飯だった。(右)レストランの看板前にて。

と、そんなこんなで私のポカラでの日々は過ぎ、
前回ストライキ等々でほとんど見る事が出来なかったカトマンズへ向かう事となった。


カトマンズへ   旅一覧に戻る